中小企業様向け、人材紹介会社の選び方と、付き合い方を解説します

人材紹介業界の動向

人材紹介とは？

人材紹介とは、企業と求職者の間に立ち、企業からの求人情報と求職者の希望をマッチングさせることにより、双方にとって最適な雇用関係の構築をサポートします。人材紹介は、求職者にとっては自身のキャリアアップや転職先を見つける手段となり、企業にとっては必要な人材を短期間で効率的に採用することが可能になるメリットがあります。特に中堅・中小企業が人材を獲得する場合、企業発展の状態に合わせて適切な人材を獲得することは難しく、人材確保が経営課題の一つとなっているため、希望の人材の獲得を、社内のリソースを使う事なく、人材の採用を進めることができる人材紹介サービスの活用は非常に有効な手段となっています。

有料職業紹介事業者数(売上)の推移

近年の有料職業紹介事業者数の推移は、人材市場の活況を物語っています。厚生労働省の統計によれば、事業者数は年々増加傾向にあり、それに伴い売上も右肩上がりで成長を続けています。この成長背景には、企業側の採用ニーズの多様化や、労働市場の流動性の高まりが挙げられます。また、特化型の人材紹介事業者の出現や、これまで人材紹介を利用していなかったニッチな分野への進出などにより、新たな市場が開拓されている点も事業者数の増加を後押ししています。有料職業紹介事業数の増加は、人材を求める企業と仕事を探す個人の間でより良いマッチングを促進し、労働市場全体の活性化に貢献しており、今後日本型の雇用から、欧米的なジョブ型の雇用が促進されている中で、さらに拡大していく可能性もあると考えられます。
欧米の渉外の平均勤務会社数は日本に比べて2倍以上に多く、勤務先の変更はこれら人材紹介会社にとってビジネスチャンスとなる為、人材市場はまだ市場規模を拡大させる可能性があると考えられます。

人材紹介業界を理解する

費用は成功報酬での支払いが多い

成功報酬型の人材紹介サービスは、企業が実際に採用を決定した際にのみ料金が発生するシステムです。これは利用する企業にとってリスクが少なく、また、人材紹介会社に質の高い候補者を紹介する強いインセンティブを提供しています。成功報酬の料金体系は、採用された候補者の年収の一定割合を基準とすることが一般的です。このモデルは、企業が無駄なコストを抑えつつ、必要な人材を確実に獲得できるため、中堅企業に特に適しています。しかし、料金やサービス内容は人材紹介会社によって異なるため、契約前にしっかりと内容を確認し、自社のニーズに最適な会社を選択することが重要です。また現在の平均的な成功報酬額は年収の35％と言われており、案件や企業によってその費用に定めはありません。

紹介会社1営業当たりの対応件数

人材紹介会社を選ぶ際、営業担当者一人当たりが対応する案件数を知ることで、どのようなサービスを提供しているのかを知る事ができます。1名の担当者が多くの案件を抱えている場合、一つ一つの案件に対して細やかな対応が難しくなる為、経歴や条件、スキルでのマッチングを優先して紹介を行っている可能性が高い。一方で、エグゼクティブやハイスキル人材を紹介する企業では、担当する案件数を絞る事で、それぞれのクライアントや求職者に対して、スキルや条件だけでなく、志向性や入社後の活躍を考慮した対応を行っています。人材紹介会社を選ぶ際には、欲しい人材条件に合わせて紹介会社を選ぶ必要があり、営業担当者一人当たりの案件数は、その会社が提供するサービスのパーソナライズ度を測るバロメーターとなります。

また、紹介料が各担当の売上となる為、高い成功報酬を支払う事で優先的に紹介をもらおうとする企業も多く存在しています。例えば現在、データサイエンティストなどのハイスキルエンジニアでは成功報酬額が年収の100％という企業も存在しており、35％というのはあくまで平均的な成功報酬金額であり、その緊急度や希少性、競合企業の状況に合わせて成功報酬金額の設定も検討する必要があります。

人材紹介会社の種類と選び方

大手か専門特化型か

企業が人材紹介会社を選ぶ際に直面する一つの大きな選択肢は、大手の総合型か、特定分野に特化した専門型となります。大手総合型は、豊富な求職者データベースと幅広い業界カバーが魅力であり、また抱えている求職者数もおおい為にすぐに人材の紹介をしてもらえる可能性がある。一方で、専門特化型は特定業界や職種に深い理解を持ち、よりマッチした候補者を紹介していただける可能性が高くなります。また、専門特化型は、営業担当も業界に詳しい為、必要人材をより的確に把握してもらう事が可能な点も魅力です。どの人材紹介会社を利用するのか、適切な選択は、企業の採用戦略と現在のニーズによって異なります。

登録型かサーチ型か

人材紹介会社を選ぶ際には、登録型とサーチ型の違いを理解することが重要です。登録型は既に登録されている求職者の中から企業のニーズに合う人材を紹介する方式です。一方、サーチ型は企業の要望に基づき、アクティブに探し出した候補者を紹介する方法です。登録型は迅速な人材紹介が可能ですが、サーチ型はより企業の要望に合致した質の高い人材を見つけ出すことができます。どちらを選ぶかは、採用戦略や求める人材の質、緊急性に応じて決定することが望ましいです。

分業制か一気通貫か

人材紹介会社を選ぶ際には、「分業制」と「一気通貫制」の違いを理解することが大切です。分業制は、企業対応を専門とするスタッフと求職者対応を専門とするスタッフによる役割分担がなされており、各スタッフが専門性を活かし迅速な対応が可能です。これに対し、一気通貫制では一人の担当者が企業と求職者双方の対応を行うため、情報の伝達がスムーズで、より密なコミュニケーションが期待できます。どちらの方式が自社に適しているかを判断するには、採用プロセスの特性や求めるサービスの質を考慮する必要があります。高い専門性を求める場合や、採用プロセスを細かく管理したい場合は一気通貫制が、広範囲から迅速に人材を確保したい場合は分業制が適していると言えます。
分業制の場合、人材と企業のマッチングがどうしてもテキスト情報に一度置き換わってしまう為、募集人材の採用ペルソナの設計が非常に重要になります。

全国型か地域密着型か

全国型の人材紹介会社と地域密着型の人材紹介会社では、それぞれメリットが異なります。全国型は幅広いネットワークを持ち、多様な業界や職種にわたる豊富な人材プールが強みです。一方で地域密着型は、その地域の市場や文化を熟知しており、地元企業のニーズに細かく対応可能です。自社の事業規模や採用ニーズに合わせて選択することが重要です。例えば、全国展開している企業や特定のスキルセットを持つ人材を求める場合は全国型、地域社会に根ざした事業展開を行う企業や地元の人材を採用したい場合は地域密着型が適しています。

人材紹介会社を有効に利用する方法

複数社との契約

複数の人材紹介会社と契約することは、多角的な視点から優秀な人材を獲得するための有効な戦略です。このアプローチは、特に特定の専門分野や職種において高いスキルを持つ人材を求めている場合に、その効果を発揮します。それぞれの紹介会社が持つネットワークや特色を活かし、求める人材像に最も近い候補者を見つけ出すことが可能になります。ただし、各社とのコミュニケーションを適切に管理し、候補者の重複紹介などによるトラブルを避けるためには、丁寧なフォローアップと情報共有が不可欠です。複数契約のメリットを最大限に引き出すためには、各紹介会社との関係構築にも注力しましょう。

人材紹介会社は、成功報酬での契約が多くこの契約形態で紹介会社の担当者のインセンティブになるのは成約できる期待値が高い事です。成功報酬をもらえる可能性が極端に低いと考えられる場合そのインセンティブが働かない為、紹介会社の担当者が積極的に紹介を行ってくることはありません。
担当が積極的に人材を紹介してくるインセンティブを提示する事が非常に重要です。
その為には
(1)採用ペルソナを作成して、ターゲットを見つけやすくすること。
(2)市場の中に一定人数いるターゲットを設定すること。
(3)希望のターゲットを紹介する為に必要な労力を考慮した成功報酬額を設定すること。
(4)紹介後の採用フローを見直し紹介者の辞退を防ぐこと。
などがあげられます。

選ばれる採用ペルソナ・条件提示

採用活動において、企業が人材紹介会社から選ばれるためには、魅力的な条件提示が必須です。これは、高い専門性や独自性を持つ求職者を惹きつけるために、給与や福利厚生、キャリアアップの機会など、競合他社と差別化できる要素を明確に打ち出すことを意味します。特に、中堅企業様が人材紹介会社を通じて優秀な人材を確保しようとする際には、自社が提供できるユニークな価値や成長可能性をアピールすることが重要になります。また、ポジションに応じた具体的なキャリアパスを提示することで、求職者のモチベーションを高め、より多くの才能ある人材に自社を選んでもらうことができます。

辞退を減らす採用フローの設計

採用ターゲットの明確化

採用ターゲットの明確化は、人材紹介会社を選ぶ際の重要なポイントです。企業が求める人材の特性やスキル、経験、そして文化への適合性を理解し、これらの条件に合った人材紹介会社を選ぶことが、採用成功への第一歩となります。例えば、特定の技術や専門知識を持つ人材を探している場合、その分野に特化した人材紹介会社を選ぶことが効果的です。また、企業文化や価値観に合う人材を求める場合は、企業の特色を理解し、長期的な視点で人材を紹介してくれる会社を選ぶことが重要です。採用ターゲットを明確にすることで、不必要な時間やコストを削減し、より適切な人材との出会いを実現することができます。この過程では、企業の現状と将来のビジョンを踏まえ、採用計画を練り直すことも必要になるでしょう。最終的には、企業の成長と発展を支える人材を確保するため、採用プロセス全体の最適化を目指すべきです。

面接フローの見直し

採用プロセスの見直しは、企業にとって効率的な人材採用を実現する上で不可欠なステップです。特に面接フローの見直しは、候補者のスキルや適性を正確に評価し、企業文化にフィットする人材を見極めるために重要なポイントとなります。良質な人材紹介会社を選ぶ際には、その会社が提供する面接フローのサポート体制に注目することが求められます。

まず、面接プロセスの各段階で候補者にどのような評価基準を適用するか、人材紹介会社との間で明確に共有することが大切です。また、面接フローを効率化するためのツールや方法論について、人材紹介会社から提案を受けられるかどうかもポイントの一つです。例えば、オンライン面接の導入支援や、面接スケジュールの調整サービスなど、企業の負担を軽減するサポートがあるかを確認しましょう。

さらに、候補者が面接プロセスを通じてポジティブな印象を持てるように、人材紹介会社がどのようなフォローアップを行っているかも重要です。面接後のフィードバックの速やかさや、不採用時の丁寧な対応など、候補者に対する配慮が企業のブランドイメージにも影響を与えます。

結局のところ、面接フローの見直しは、採用の質を高めるだけでなく、企業と候補者双方にとってプラスの体験を提供するために欠かせないプロセスです。人材紹介会社を選ぶ際には、これらのポイントを踏まえ、企業の採用戦略を最大限にサポートしてくれるパートナーを選択することが肝要です。

まとめ

人材紹介会社を有効に活用して採用を行う為のポイント

つまり、何よりもまずは、採用ペルソナを丁寧に作り直す事が非常に重要なポイントです。これまで人材紹介での採用を行っていなかった場合は、このタイミングで採用ペルソナの作成に着手していただければと考えております。
これは、クリック課金型などでも非常に大切な要素であり、今後の採用活動の中で最も重要な考え方です。

また、人材紹介会社はAIではなく人が介在するビジネスモデルとなっている為、「優先的に紹介してもらえる」「優先的に担当の時間を使ってもらえる」会社であることが非常に重要です。

上記を満たしたうえで、複数社の紹介会社を利用して採用活動を進めていただけたらと思います。