アルムナイ採用とは、過去に退職した元社員を再雇用する採用手法です。労働市場の変化に伴い、即戦力確保や企業ブランディング向上の観点から注目されています。リファラル採用やカムバック採用との違い、導入メリット、成功事例などを詳しく解説。アルムナイネットワークの活用や採用基準の設定もポイント。ぜひご覧ください!
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目次
アルムナイ採用とは?
アルムナイ採用とは、過去に退職した元社員(アルムナイ)を再び雇用する採用手法です。
近年、労働市場の変化や人材戦略の一環として注目されています。
他の採用方法と異なり、即戦力となる経験者を効率的に採用できる点が特徴です。
また、人材の流動化がますます大きくなる将来に備えて、考えておきたい採用手法の一つと言えます。
基本の理解と他の採用方法との違い
アルムナイ採用は、リファラル採用やカムバック採用と混同されがちですが、それぞれの目的や手法には違いがあります。
以下で詳細に解説します。
アルムナイとは?
アルムナイとは、特定の企業や団体を退職した元社員のことを指します。
企業との繋がりを維持するためのネットワークを構築することが重要です。
リファラル採用やカムバック採用との違い
リファラル採用は現役社員が候補者を紹介する形式であり、アルムナイ採用とは異なります。
カムバック採用は、退職後一定期間内に戻ることを想定した手法であり、アルムナイ採用が長期的視点であるのに対して短期的な出戻りを指すことが多く、
アルムナイ採用とは、退職後、複数社での就業などを経て、企業と退職者がつながり続けることで発生する採用を指しています。
アルムナイ採用の注目される背景
労働市場の動向と人的資本経営
アルムナイ採用が注目される背景には、労働人口の減少や人材流動性の高まりがあります。
これにより、企業は柔軟な人材活用を模索するようになりました。
採用が重要な経営課題となっている企業も増えている事。
ジョブ型雇用が浸透していくことで1社あたりの継続勤務年数が短くなっている事。
事業拡大もスピードが重視されるようになったことで、企業のフェーズに合わせて人材の流動化が必要な事。
これら全てがアルムナイ採用を進めていく理由になっています。
労働人口不足と人材流動性の高まり
少子高齢化に伴う労働力不足が進行する中で、人材の流動性が高まりつつあります。これにより、退職者の再雇用が新たな人材戦略として重要性を増しています。
雇用の流動化と退職者の再雇用意向
現代では転職が一般化しており、退職者が企業に戻ることへの心理的障壁が低下しています。これを活用することで、企業は質の高い人材を効率的に確保できます。
アルムナイ採用のメリットとデメリット
メリット
アルムナイ採用には、即戦力となる人材の確保や企業ブランディングの向上といった多くのメリットがあります。
即戦力人材の確保と採用コスト削減
アルムナイは既に企業文化や業務内容を理解しているため、即戦力として活躍できます。
また、採用コストが抑えられる点も大きな利点です。
合わせて、離職後に得た知識や経験がさらに企業にとって有益な可能性もあり離職者の採用にはメリットがあります。
組織の強化と企業ブランディング
アルムナイとの繋がりを活かすことで、組織のネットワークが強化されます。
また、過去に戻りたいと思える企業であることが外部からの評価を高め、ブランディング効果をもたらします。
アルムナイ採用の大きなメリットがここにあります。
アルムナイ採用を行うと決めた企業は従業員満足度を高める方向に意識が向きます。
この意識の変化が企業の福利厚生の変化に強く影響し、様々な意思決定が変化します。
デメリットとその対処法
一方で、退職者を再雇用することで新たな課題も生じる可能性があります。
退職のハードル低下と情報漏えいリスク
アルムナイ採用を推進すると、社員が「戻れるから」と安易に退職するケースが増えるリスクがあります。
また、退職時に知り得た情報が外部に漏れるリスクもあるため、対策が必要です。
既存従業員の理解を得るための工夫
元社員の再雇用が既存社員にとって不公平感を与える場合があります。
事前に透明性のある採用基準や再雇用時の待遇の待遇の基準を設け、社員に説明することで理解を得る努力が重要です。
アルムナイ採用の課題と解決策
基盤整備とコミュニケーションの課題
アルムナイ採用を成功させるには、アルムナイネットワークの構築や採用基準の整備が必要不可欠です。
アルムナイネットワークの構築
元社員と連絡を取り続けるためのプラットフォームを整備し、定期的な交流イベントを開催することが重要です。
また様々な交流イベントで社外の人材と交流をすることができるため、社内の人材にとっても良い刺激になり、
これらも企業ブランディングに大きなメリットをもたらします。
採用基準の設定と運用
アルムナイ採用における明確な基準を設けることで、公平性を確保し、採用プロセスを円滑に進められます。
アルムナイ採用の実施方法
効果的な活用方法と成功のポイント
アルムナイ採用を効果的に活用するには、企業文化に合った雇用形態の提供や退職者との信頼関係の構築が必要です。
終身雇用の考え方や就社の考え方とは異なる考え方のため、取り入れられる職種や職域からスタートするということも選択枝の一つです。
交流ネットワークとイグジットマネジメント
アルムナイネットワークを活用し、退職者が戻りやすい環境を整えるとともに、退職時に前向きな印象を残すことが重要です。
これは企業ブランでイングに良い影響を与えます。
昨今、従業員からのクチコミの影響が大きくなっており、アルムナイ採用を行うことで、
退職者へ悪い印象を与えない退職手続き、企業風土を作ることができます。
多様な雇用形態の提供
フルタイムだけでなく、パートタイムやプロジェクトベースの雇用形態を提供することで、多様な人材のニーズに応えることができます。
退職後に他社へ転職してから主婦になった方から復職先として選んでもらう。独立した社員のパートタイムでの雇用など、
様々な働き方でアルムナイ採用の可能性があります。
アルムナイ採用の成功事例
企業の取り組みと事例紹介
日本国内では、トヨタ自動車やみずほフィナンシャルグループなどがアルムナイ採用を積極的に進めています。
トヨタ自動車株式会社
トヨタは、元社員同士や現役社員との交流を促進するため、アルムナイ専用のコミュニティサイトを開設しています。
人生100年時代において、一人ひとりが自律的にキャリアを形成し、活き活きとした人生を送ることを後押しするため、アルムナイ同士や現役社員との交流を促進しています。
トヨタのアルムナイネットワークの特徴
(1)交流の場の提供
アルムナイ専用のコミュニティサイトを開設し、元社員同士のネットワーク構築を支援しています。
(2)最新情報の提供
トヨタ自動車の最新情報やイベント情報を共有し、元社員が企業の動向を把握できるようサポートしています。
(3)多様性の促進
多様なバックグラウンドを持つアルムナイとの交流を通じて、新たな価値創出や気づきを得る機会を提供しています。
みずほフィナンシャルグループ
新たなフィールドへキャリアチェンジした元社員との継続的な関係構築を目指し、アルムナイ専用のコミュニケーションサイトを運営しています。
みずほフィナンシャルグループのアルムナイネットワークの特徴
(1)登録者数の拡大
2020年7月の運営開始以降、登録者数が1,000名を突破し、ネットワークの拡大が進んでいます。
(2)情報提供
みずほの最新情報や各種レポートを発信し、元社員が企業の現状や業界動向を把握できるよう支援しています。
(3)交流の促進
アルムナイ同士の交流を可能にし、ネットワーキングや情報交換の場を提供しています。
日立製作所、ほくほくフィナンシャルグループの例
日立製作所はアルムナイを対象にしたプロジェクトを展開し、ほくほくフィナンシャルグループは柔軟な雇用形態を提供することで注目されています。
日立製作所は、退職した元社員(アルムナイ)との関係を維持・強化するためのネットワークを構築しています。
このアルムナイネットワークでは、元社員が新たに得た経験やスキルを活かし、再び日立で働く機会を提供することを目的としています。
具体的には、アルムナイ向けに適切なポジションの紹介や、日立の最新情報の提供を行っています。
これにより、元社員が再入社を検討する際の参考情報を提供し、再雇用の促進を図っています。
ほくほくフィナンシャルグループは、従業員の多様な働き方を支援するため、副業制度を導入しています。
この制度は、全従業員を対象としており、地域貢献や教育・文化活動、保有する資格やスキルの活用につながる分野での副業を認めています。
これにより、従業員の自律的なキャリア形成やスキルアップ、人脈形成を促進し、従業員のエンゲージメント向上を目指しています。
また、同グループは人的資本経営を推進するため、人事戦略部を新設し、転職潜在層へのアプローチを強化するなど、柔軟な雇用形態の提供に注力しています。
アルムナイ採用支援サービスの活用
支援サービスの機能とおすすめ
アルムナイ採用を効率的に進めるための支援サービスが増えています。
アルムナイ専用サイトとネットワーク形成
元社員との連絡を維持するための専用プラットフォームが提供されています。これにより、企業は退職者との関係を簡単に管理できます。
おすすめサービス一覧
「YELLoop」や「Alumy」は、企業規模に関わらず活用できるツールとして人気です。
機能性やコストパフォーマンスが高く、多くの企業で導入されています。
YELLoop (株式会社マイナビ) |
https://saponet.mynavi.jp/pickup/hr/yelloop/ | コミュニティツールとコンサルティングを組み合わせたサービス。ポイント制度を導入し、アルムナイの参加を促進。 |
Alumy (株式会社リクルート) |
https://service.alumy.jp/ | アルムナイ・タレントプールの構築や企業情報の配信をサポート。コーディネーターとの相談機能も提供。 |
official-alumni.com (株式会社ハッカズーク) |
https://official-alumni.com/ | トヨタ自動車や三菱商事などの大手企業での導入実績あり。アルムナイコミュニティの設計から運用までをサポート。 |
ResumeX (アルムナイ株式会社) |
https://resumex.jp/ | 現役社員・OB・OGの名簿作成やコミュニケーションを支援。50名まで無料で利用可能なプランを提供。 |
MyTalent (株式会社TalentX) |
https://mytalent.jp/crm/ | 採用マーケティングオートメーション(MA)ツール。全ての採用チャネルの応募者データを一元管理し、効果的なスカウトを支援。 |
airy for Alumni (EDGE株式会社) |
https://airy.net/alumni/ | 10年以上の実績を持つコミュニティシステムを提供。会社情報や求人情報の発信が可能で、フォローサポートも充実。 |
LinkedInを活用したアルムナイ採用の方法
専用ツールを使う方法以外にもアルムナイ採用を進める方法があり、その中でLinkedInを活用した方法をご紹介いたします。
専用グループの作成
LinkedIn内にアルムナイ専用のグループを作成することで、企業と退職者が継続的に関係を保つ場を設けます。このグループでは、会社の最新情報や求人情報、イベントの案内などを共有し、コミュニケーションを活性化させることが可能です。
アルムナイへの直接アプローチ
LinkedInの検索機能を活用すれば、退職者のプロフィールを簡単に見つけることができます。彼らのスキルや現在のキャリアを確認し、直接メッセージを送ることで再雇用の話を持ちかけることができます。
エンゲージメントの強化
定期的に企業文化や福利厚生の改善、業績の向上といったポジティブな情報を配信することで、アルムナイの企業への信頼感や関心を高めることができます。
LinkedInを活用するメリット
広範なネットワーク
LinkedInは、アルムナイだけでなく、そのネットワークやプロフェッショナル全体にリーチできるため、採用可能な人材の幅が広がります。一方、専用サービスは既存のアルムナイに限定される場合が多いです。
コスト効率
LinkedInは無料で利用を開始でき、有料プランも柔軟に選べるため、専用サービスの導入や運用コストと比べて経済的です。
多機能性
LinkedInはアルムナイ採用だけでなく、企業ブランディング、新規採用、マーケティングなど多岐にわたる用途に対応しています。これにより、一つのプラットフォームで複数の目的を達成可能です。
LinkedInを活用したアルムナイ採用は、コスト効率と柔軟性が高く、幅広い採用活動に活用できる点が魅力です。専用サービスの導入と比較し、自社の採用ニーズに応じて最適な方法を選ぶことが成功の鍵となります。
まとめ
アルムナイ採用は、労働市場の変化や人材戦略の多様化に応じた採用手法として、企業に多くのメリットをもたらすと考えています。
特に、即戦力となる人材の確保、企業ブランディングの向上、そして柔軟な雇用形態を通じた多様な人材の活用は、現代の経営課題に対する有効な解決策です。
一方で、退職者との再雇用には情報漏えいや既存社員との関係構築など、慎重に対処すべき課題も存在します。
これらの課題をクリアするためには、アルムナイネットワークの構築や退職時の前向きなイグジットマネジメントも欠かせません。
アルムナイとの信頼関係を築き、再び選ばれる企業であり続けることが大切です。
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