目次
はじめに
アルバイトやパートなどの非正規雇用では特に発生頻度が高く、職場の人員計画や運営に大きな影響を与える可能性も。
しかし、いざというときの対応を決めておかないと「どう対処すればいいのか分からない…」と混乱してしまうこともあるでしょう。
この記事では、無断欠勤が発生した際の対応フローから、
法的に正しい対処法・退職手続き・給与・貸与物の扱いまで、実務担当者が押さえておくべきポイントを丁寧に解説します。
現場で迷わないための「備え」として、ぜひ参考にしてください。
人気記事:採用担当者のための労働基準法ガイド|求人票・契約書で押さえるべき実務ポイントとは?
無断欠勤発生時の初期対応
本人への連絡は最優先
アルバイトが無断欠勤した場合、まずは本人への連絡を最優先に行いましょう。
- 電話・メールなどで複数回(2〜3回)連絡を試みる
- 連絡がついた場合は、状況を丁寧に聞き取る
- 責めずに、安否の確認と出勤可能時期の確認を
「寝坊」や「シフト勘違い」といった軽微な理由であれば、1本の電話で解決するケースも多いため、まずは冷静に対応しましょう。
連絡が取れない場合の対応例
- 留守電・メールでの連絡メッセージを残す
- 内容に含めるべき4点:
- 無断欠勤の事実の通知
- 至急連絡を求める依頼
- 連絡がなければ次の対応に進む旨
- 就業規則に基づく処分の可能性
この文面を残しておくことで、後日の法的トラブルにも備えることができます。
緊急連絡先への確認
本人とまったく連絡が取れない場合は、履歴書記載の緊急連絡先や身元保証人に連絡を取りましょう。
- 安否の確認を依頼(事故・事件の可能性も考慮)
- 本人に会社へ連絡するよう伝えてもらう
- 直接の退職交渉は避ける
自宅訪問は最終手段
どうしても連絡がつかない場合は、安否確認や貸与品回収を目的に自宅訪問を検討。
管理会社や大家への説明、書き置きの残置など、記録を残して慎重に実施しましょう。
連絡が取れない場合の対応
まずは社内ルールの確認から
無断欠勤が続き、本人と連絡がつかない場合は、社内の就業規則や雇用契約書の確認からスタートしましょう。
- 何日間の無断欠勤で自然退職扱いとなるか
- 懲戒解雇に該当する具体的な条件
例として「14日間の無断欠勤で懲戒解雇が有効」とされた判例もあり、2週間程度は慎重な対応が求められます。
社会保険・雇用保険の加入状況をチェック
解雇や退職の手続きに進む前に、該当アルバイトが社会保険・雇用保険に加入しているかを確認しましょう。
- 加入していれば資格喪失の届出が必要
- 勤務実績がない場合は「採用取消」扱いも可能(例:初日から無断欠勤)
保険加入の有無で手続きや必要書類が大きく異なるため、事前の確認が必須です。
すべての連絡履歴を記録する
本人と連絡が取れない間も、粘り強く連絡を続け、その都度記録を残しておきましょう。
- 電話・メール・SMSの送信日時、回数、内容
- 留守電に残したメッセージ内容
- 訪問時の記録(ポスト投函の有無など)
これらの記録は、「誠実な対応を行っていた証拠」として、
万一労働者側から主張があった場合の防御材料になります。
無断欠勤が続く場合の措置
自然退職 or 解雇? 判断は慎重に
一定期間以上の無断欠勤が続いた場合、自然退職として処理するか、懲戒解雇を検討するかの判断が必要です。
いずれにせよ、手続きの透明性と法令順守が重要です。
退職手続きの正式通知
連絡がつかないまま欠勤が続く場合、会社側から内容証明郵便などで退職通知を行いましょう。
通知書に含めるべき内容:
- 出勤命令または連絡要請(最終通告)
- 就業規則違反による処分予定
- ○年○月○日を退職日とする旨
- 未払い給与や貸与物の案内
内容証明での通知により、会社として正式な手続きを踏んだ証拠になります。
就業規則に「○日以上の無断欠勤で自然退職とする」旨がある場合、それに基づいて退職日を明記するのが望ましい対応です。
懲戒解雇を検討する際の注意点
懲戒解雇は企業側にとって最も重い処分であり、慎重な判断が求められます。
✅ 解雇予告のルールを守る
労働基準法では30日前の予告または30日分の解雇予告手当が必要です。
- アルバイトにも適用されます
- 採用から14日以内なら例外適用も可
⚠ 不当解雇リスクに注意
無断欠勤があっても、即時解雇が常に認められるわけではありません。
段階的な措置(指導 → 警告 → 出勤命令)を経た記録を残すことが、リスク回避につながります。
出勤要請の内容証明郵便などを経て、それでも連絡がなければ「やむを得ない懲戒処分」として対応可能です。
どうしても判断が難しい場合は、社会保険労務士や弁護士へ相談しましょう。
無断欠勤に関する給与の取り扱い
未払い給与は必ず支払う
無断欠勤があったとしても、すでに働いた分の給与は必ず支払う必要があります。
これは労働基準法第24条により定められており、「ノーワーク・ノーペイの原則」が基本です。
- 欠勤前の勤務分 ⇒ 必ず支払う
- 欠勤日の給与 ⇒ 原則支払不要
減給処分を検討する場合は労働基準法第91条の上限(1回につき平均賃金の半日分)を遵守する必要があります。
給与の支払い方法は3つ
連絡が取れない場合でも、支払いの努力義務を果たす必要があります。
① 銀行振込
通常の給与口座が分かっていれば、そのまま振り込みがベストです。振込記録が証拠にもなります。
② 現金書留での郵送
銀行口座が不明な場合は、現金書留を本人住所に郵送することも選択肢です。郵便追跡で送付証拠も残せます。
③ 法務局への供託
振込・郵送が困難な場合は法務局に供託することで、会社側の支払い義務は果たしたとみなされます。
この方法を取った際は、本人宛に供託通知を送るのが望ましいです。
いずれの場合でも支払い義務を放棄することはできません。
現金書留が戻ってきた場合などは、会社内で保管し2年の時効までは支払い可能な状態を維持しましょう。
貸与物の回収方法
まずは本人への連絡から
無断欠勤のまま退職となるケースでも、貸与品の返却は必須です。まずは本人に対し、丁寧に返却依頼を行いましょう。
- 電話・メール・SMSで貸与物の返却依頼を送る
- 内容には具体的な品目や返却期限も明記
- 連絡がつかない場合でも、留守電・メールに文面を残す
本人と連絡が取れなければ、緊急連絡先や身元保証人に間接的に伝えてもらう方法も有効です。
内容証明郵便で正式に請求
メールや電話でも応じない場合は、内容証明郵便で正式な督促を行いましょう。
文面に記載すべき内容:
- 返却してもらいたい具体的な品目
- 返却期限の明記
- 未返却時の対応(損害賠償請求の可能性)
証拠が残る方法を選ぶことで、後の法的対応にも備えることができます。
高額機器・個人情報のある貸与物は要注意
業務用スマホやパソコン、鍵、名札など、回収しなければリスクが生じる物品は特に注意が必要です。
- 回収不能が続く場合 → 損害賠償請求の検討
- 悪質な持ち逃げ → 警察への被害届(業務上横領)の可能性も
ただし訴訟はコストや風評リスクもあるため、実際には内容証明レベルで落ち着くケースが大半です。
給与からの精算は慎重に
制服代など実費弁償を未払い給与から相殺したい場合は、就業規則に定めがあるか確認しましょう。
労働法上、賃金の一方的控除は原則NGです。差し引く場合は労使協定が必要になることもあります。
無断欠勤を防ぐための事前対策
就業規則の整備と周知徹底
無断欠勤を防ぐには、事前のルール整備と周知が非常に重要です。
特にアルバイト層においては、「知らなかった」が理由になりがちです。
- ◯日連絡がない場合は自然退職扱いなどの明文化
- 入社時オリエンテーションで説明+同意書や誓約書の取得
- 実際に無断欠勤があった際は必ず規則に基づいた対応を取る
規則は「守るためのもの」。一貫性のある運用が組織の信頼性にもつながります。
身元保証書や誓約書の活用
無断欠勤が発生した際の連絡手段や、事前の抑止力として身元保証書や誓約書を活用するのも有効です。
- 保証人(多くは親族)により緊急時の連絡手段を確保
- 服務規律遵守の誓約書で本人への意識づけ
保証契約には期間や範囲の制限があるため、社労士などと相談しながら慎重に取り入れるのがベストです。
信頼関係と職場環境の改善
無断欠勤の背景には、人間関係の不安やモチベーションの低下が潜んでいることも多くあります。
- 定期的な声かけや面談で、悩みや不満の早期発見
- ミスに対しては叱責よりもフォロー重視
- 成果や貢献への感謝の気持ちを日々伝える
また、シフトの詰めすぎや過度な負担は無断欠勤リスクを高めます。
働きやすい職場づくりも立派なリスク対策のひとつです。
予防と対応、どちらも大切
無断欠勤は完全にゼロにはできなくても、事前対策と段階的な対応の仕組みがあれば、トラブルを最小限に抑えることができます。
規則を整え、スタッフと信頼関係を築きながら、いざというときの社内マニュアルも備えておきましょう。
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