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面接評価シートとは
面接評価シートとは、採用面接で見るべき評価項目や評価基準をまとめ、求職者を評価する際に使うチェックシートです。面接で聞くべき質問を書いておくことで質問シートとしての役割も果たします。
インターネットで検索すれば、基本的な事項をまとめたテンプレートが多く見られます。ただし、業界・会社・部署・職種ごとに、求める人物像や採用基準は異なるため、そういったテンプレートを参考にしつつ自社独自の面接評価シートを作るようにしましょう。
本記事では、面接評価シートの作成方法・使用目的・注意点をご紹介します。
面接評価シートの作成方法
こちらが面接評価シートに必要な項目です。
面接評価シート構成例
面接日時
面接官
求職者氏名
応募職種
評価項目
評価基準
定量評価記入欄
定性評価記入欄
懸念点
転職理由・志望動機
他社の選考状況
次の面接官への申し送り事項
自由記述欄
合否結果
必要に応じて、構成を追加・修正・削除しましょう。
作成の流れ
求める人材の明確化
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評価項目の選定
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評価基準の決定
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質問例の作成
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使用後の改善
それでは、流れに沿って詳しくご説明します。
自社が求める人材を明確にする
まずは求める人物像を明確にします。募集背景や採用目的をきちんとおさえたうえで、会社の価値観や配属される部署の上司・同僚との相性も考慮し、人物像を決めていきます。
求める人物像を明確にする際に分からない点や迷う点があれば、可能な限り自社の社長や配属部署の責任者などにヒアリングをして曖昧な点をクリアにし、自身の主観や想像だけで進めないよう気を付けましょう。
現在自社で活躍している人や長く続けている人など、在籍している従業員を参考にしてみることもおすすめです。
また、「こういう人物はNG」という人物像を設定しておくことも有効です。このとき「遅刻が多い」「やる気がない」など、どの企業でもNGであることが想定される人物像よりも「他の仕事なら合うかもしれないけれど、今回募集している自社のこの仕事には合わない」という人物の要素を考えると良いです。
例えば「職場でコミュニケーションを頻繁にとりながら仕事を進めたいタイプ」の人は、「いつも職場で会話が飛び交っているような業務上のコミュニケーション量が多い仕事」にはマッチする可能性が高いですが、「黙々と集中して作業することが多い仕事」であれば、合わない可能性が高いです。募集する仕事が「黙々と集中して作業することが多い仕事」の場合、たとえ明るくて好印象な人だとしてもミスマッチになってしまいます。こういったNG要素を設定しておくことで、求める人物像がより明確になることも多いため、ぜひ考えてみてください。
評価項目を選定する
求める人物像を明確にしたら、それをもとに面接で評価すべき項目を整理します。
まずは思いつく限り、評価項目(=求める要素)を出し尽くしてみましょう。後から取捨選択や優先順位付けをして絞り込むため、出し尽くす段階では求める要素が多くなってしまっても構いません。
求める要素の例
経験
業界・職種経験
商材やツールの取り扱い経験
マネジメント経験
知識・スキル
保有資格
一般教養
業界、職種の専門知識
語学力
論理的思考力
コミュニケーション能力
傾聴力
プレゼン力
問題解決能力
実行力
理解力
分析力
マネジメント力
要約力
人柄
企業理念への共感度
自社の価値観や風土との相性
一緒に働くチームメンバーの雰囲気・志向性との相性
ストレス耐性
主体性
協調性
学習意欲
向上心
その他
身だしなみ
話し方や声の大きさ
ビジネスマナー
表情や目線
中途採用では、特に経験を評価項目に多く盛り込むケースが多いです。
一方新卒採用では社会人経験がないため、特に人柄を評価する項目が重要です。
職種未経験者を中途採用する場合は、同職種の経験がなくてもどんな経験やスキルがあれば自社の仕事に転用して活躍してもらえそうかを考え、求める要素を検討しましょう。
求める要素を挙げつくしたら、それらを評価項目として絞り込みます。その要素は必須なのか、出来ればあって欲しい程度なのかを検討し、優先順位付けをします。知識・スキルについては、入社後比較的短期間で身に付けられるようなことであれば、優先順位を下げたり削ったりしても良いでしょう。
また、面接を複数回行う場合は、面接ステップに応じて評価項目を変えるケースもありますので、そういった運用方法も検討してみてください。
評価基準を決定する
評価項目が決まったら、それぞれに対応する評価基準を決めます。
評価基準の例
業界・職種経験→前職経験は入社後も活かせそうか
商材やツールの取り扱い経験→○○を扱った経験はあるか
一般教養→経済ニュースに関する質問に回答できるか
業界、職種の専門知識→○○の知識は即戦力として活かせるレベルか
論理的思考力→話の一貫性があり矛盾や破綻がないか
コミュニケーション能力→質問を理解し、的確に回答できているか
傾聴力→説明や質問を最後まで集中して聞くことができているか
プレゼン力→主張を分かりやすく魅力的に話すことができているか
問題解決能力→問題の原因を捉え解決した経験があるか
マネジメント力→自社で活かせそうな、メンバーマネジメント経験があるか
ストレス耐性→どんなことにストレスを感じやすいか、対処法を持っているか
学習意欲→新しい知識や技術に対する学習経験や学習方法は何か
企業理念への共感度→自社の理念を理解し根拠を持って共感理由を話せているか
主体性→指示を待たずに自ら考え行動した経験はあるか
協調性→相手の意見を尊重したり複数名での共同作業で仕事を進めることに抵抗がないか
身だしなみ→服装、髪型などに清潔感があるか
話し方や声の大きさ→話し方や声は聞きやすいか
ビジネスマナー→言葉遣いや振る舞いに失礼はないか
表情や目線→明るい表情で、面接官の目を見て話が出来ているか
このように、求める要素がその求職者にどのくらいあるのかを判断するための基準を、評価項目ごとに決めていきます。同じ評価項目でも、会社や面接官により捉え方が異なってしまうと正しく一貫した評価ができないためです。
各評価基準に対し、面接では2つの方法で評価をします。
定量評価
5段階評価や点数など、数字での評価です。面接官が複数いる場合は、面接官ごとに厳しすぎる・甘すぎるといった評価基準のバラつきがないよう、評価基準を事前に摺り合わせておきましょう。中間値の目安を決めておくと良いです。
定性評価
面接官が感じた所感や、定量評価の数字に至った理由、特筆すべき点などを自由に記載します。
面接評価シートには、定量評価・定性評価それぞれを記入できる欄を設けます。
最後に、これらの評価を総合的に判断し、どのラインで合格とするかという合格ラインを決めておきましょう。
こちらの記事で初めて面接官を担当する方向けに、事前準備や面接の進め方を詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
はじめての面接官!やり方や流れ、注意点を解説
面接官の質問例をまとめる
設定した評価項目に沿って求職者を見極めるための、求職者への質問文を考えておきます。
面接官が複数いる場合は、質問の仕方によっても評価のバラつきが発生してしまう可能性があります。そういったことがないよう、面接評価シートには質問文も添えておき、質問シートとしての役割も持たせておくと良いでしょう。面接のスムーズな進行や、聞き忘れを防ぐ効果もあります。
質問例
・見ていたメンバーは何名程でしょうか?
・メンバーとはどのように関わりを持っていましたか?
・マネジメントにおいて心がけていたことは何ですか?
ストレス耐性→どんなことにストレスを感じやすいか、対処法を持っているか
・その仕事で辛かったのはどういったときですか?
・普段どういったことでストレスを解消されていますか?
・他の人にとってはあまりストレスにならないようなことが自分にはストレスになるというケースはありますか?
学習意欲→新しい知識や技術に対する学習経験や学習方法は何か
・最近新しく学習した知識や技術は何かありますか?
・その知識はどんな方法で勉強し、身に付けたのですか?
協調性→相手の意見を尊重したり複数名での共同作業で仕事を進めることに抵抗がないか
・チームで仕事を進める際、どういった役割を担うことが多いですか?
・チームで仕事を進める際、どんな点に苦労されることが多いですか?
・チームで仕事をうまく進めるために心がけていることはどんなことですか?
使用後も改善すべき点があれば改善する
出来上がった面接評価シートは、面接で使用したあと定期的に見直し、改善すべき点があれば改善しましょう。実際に使ってみると、面接では評価することが難しい評価項目だったり、面接官によって評価基準の認識に少しズレがあったりと、何かしら不備が出てくることがあります。
求める人物像が、自社の事業状況や体制、外部環境の変化に伴い変わっている可能性もあります。一度完成したからといってその面接評価シートに囚われすぎず、違和感や使い辛さがあればしっかり見直し改善することが重要です。
繰り返し改善を重ねることで評価の精度があがり、自社の実情に合ったより良い採用活動ができるようになるはずです。
面接評価シートの使用目的
面接評価シートの使用目的は主に3つあります。
- スムーズな面接進行
- 面接内容の社内共有
- 一貫性のある採用判断
面接をスムーズに進めることができる
「自己紹介や志望動機を聞いた後、何を聞いたら良いか分からない。」
「合否判断に必要なスキルについて、どのくらいのスキルがあるのかよく分からなかった。」
こういったことを防ぎ面接や採用活動をスムーズに進行することが、面接評価シートの使用目的のひとつです。
面接評価シートに質問文や確認すべき評価項目を記載しておくことで、質問に詰まってしまうシーンや聞き忘れを防ぐことができます。
面接経験の浅い面接官や、面接に不慣れな現場社員が面接を担当することになっても、スムーズに面接を進められるでしょう。
また、もし面接官が多くの求職者の面接を担当している場合、全ての求職者の面接内容を覚えておくことは難しいはずです。一人ひとりの求職者との面接内容を忘れないようにするためにも、面接評価シートの使用は有効です。
求職者の特性を社内に共有しやすくなる
採用活動において、面接官が社内の誰かに求職者の情報を共有すべきシーンはいくつかあります。
- 複数名での合否の判断
- 次の選考ステップでの参考情報
- 採用後の配属部署への共有
こういったシーンにおいて、履歴書・職務経歴書を共有するだけでも最低限の情報は伝わります。ただし、その情報だけで合否の判断をしたり、配属部署として入社受け入れの準備をするには無理があります。また、もし二次面接を実施する予定がある場合、一次面接で話したことが二次面接官に共有されていないと求職者にとって良い印象を与えません。
従って、求職者情報を共有する際には、履歴書・職務経歴書だけではなく面接内容も共有する必要があります。このとき面接評価シートがあれば効率的に共有することができるだけでなく、各関係者に一貫した同一の面接評価を伝えることができるのです。
会社として一貫性のある採用判断ができる
面接官によって評価項目や評価基準が異なってしまうと正しく一貫した評価ができません。面接や選考の精度も下がり採用活動がうまくいかない可能性が高くなります。
面接評価シートを使って、一貫した質問や合否判断をすることで、面接官個人の主観に偏らない採用活動が出来るようになります。
面接評価シートを作成する際の注意点
面接評価シートの作り込みには要注意
張り切って面接評価シートを作り込んだ結果、評価項目が多くなり過ぎてしまうことがあります。評価項目が多過ぎると、以下のようなデメリットがあります。
評価項目が多過ぎると…
- 面接時間内に評価しきれない
- 評価項目を埋めることが目的になってしまい、話の深掘りができない
- 面接中に求職者をよく見て話を聞くこと以上に、シートのチェックや記入に集中してしまう
一般的に面接の時間は30分〜1時間程度です。面接中は企業側からの評価だけではなく、求職者に対する自社の説明や質問を受ける時間も必要です。面接のタイムスケジュールを考慮したうえで、面接評価シートの項目を絞り込むようにしましょう。
また、面接慣れしていない面接官が面接評価シートを使う可能性がある場合は、評価項目や評価基準について、より一層分かりやすく具体的な表現を使って作成してください。
面接評価シートは新卒と中途で分ける
全く同じ部門・職種の採用でも、新卒採用と中途採用では面接評価シートを別々に作成しましょう。
新卒と中途では、求める要素も評価項目も異なるはずです。同じ面接評価シートを使用してしまうと、新卒採用面接なのに前職経験を評価する項目があったり、中途採用面接なのにスキル評価項目が甘かったりするなど、正しく評価・選考することが出来ません。
多くの場合、新卒採用と中途採用で重視されるポイントにはこのような違いがあります。
新卒採用
社会人経験がないため、候補者の人柄や成長ポテンシャル、個性といったパーソナリティーの部分が重要視されます。
中途採用
前職での経験や保有しているスキル、社会人として身に付いた能力による評価が主な判断材料になります。
もちろん、新卒でも中途でも共通する項目はあるはずなので、いずれかの面接評価シートを作成後、もう一方の面接評価シートを作成すると良いでしょう。共通する項目は残し、必要な項目を追加し、不要な項目は削除します。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今やインターネットで検索すれば面接評価シートテンプレートは簡単に手に入りますが、本当に自社に合った人材を採用するには、自社独自の面接評価シートになるよう手を加える必要があります。
スムーズに採用活動を進め一貫性のある採用をするためにも、本記事を参考にオリジナルの面接評価シートを作成してみてください。
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