人材育成

【高い離職率の原因は?】離職率を改善するための具体的な事例・アプローチの紹介

2024年11月13日

「なんでこんなに社員が辞めていくんだろう…?」

自社の離職率の高さが気になる方は、非常に多く存在するのではないでしょうか。

多くの企業が直面するこの課題を解決するために、職場環境の改善やキャリア開発支援、そしてオープンなコミュニケーション文化の構築が鍵です。

本記事では、実際の成功事例をもとに、社員の定着率を高めるための具体的な施策をご紹介します。

離職率の動向

日本における離職率の現状

日本では、新卒者の3年以内の離職率が32.3%に達しており、3人に1人が早期退職している現状です。さらに、中途採用者の離職率も高く、特に職場環境や人間関係、キャリアの不透明感が原因となっています。こうした状況から、企業は従業員の長期的な定着に向けた取り組みが不可欠です。企業の採用戦略では、単なる人数確保だけでなく、職場環境やキャリア開発の強化を目指す必要があります。

引用:厚生労働省 新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)

業界別の離職率データ

業界別に見ると、離職率の高さには顕著な違いがあります。特に、飲食業や介護業界では50%を超える高い離職率が報告されており、労働条件の過酷さやキャリアパスの不透明さが原因とされています。一方、製造業や金融業界では、20%前後に抑えられていますが、それでも離職は無視できない課題です。IT業界や小売業でも、常に20〜30%の離職率が見られるため、業界特有の対策が求められています。

引用:厚生労働省 新規学卒就職者の産業別就職後3年以内離職率のうち、離職率の高い上位5産業

離職の要因に関する統計

離職の要因として最も多いのは「人間関係の不和」であり、全体の35%を占めます。次に多いのが「キャリアの不透明感」(28%)で、従業員が将来のキャリア形成に不安を抱えることが原因です。また、「労働環境の不備」(20%)や「給与や待遇への不満」(15%)も大きな要因となっています。これらの要因は、多くの場合複合的に絡み合い、早期離職につながるため、企業は全体的な改善を図る必要があります。

離職が企業にもたらす影響

離職は企業に多大な影響を及ぼします。特に、重要なポジションでの離職は業務に支障をきたし、残された従業員の負担が増加します。離職の頻発は、企業文化や組織の安定性に対する信頼を損なうリスクもあります。これにより、採用活動における企業の魅力が低下し、優秀な人材の確保が困難になる可能性があります。企業は、離職防止のための施策に取り組む必要があるのです。

経済的影響(採用コストや研修コスト)

離職による経済的な影響は非常に大きく、採用コストや新人研修コストが主な要因です。採用活動にかかる費用には、求人広告、エージェント利用、面接に伴う時間的コストが含まれます。さらに、採用した従業員が業務に慣れるまでの研修費用も必要です。離職者が多い企業では、これらのコストが繰り返し発生するため、年間で数百万〜数千万円の損失が発生することも少なくありません。

チームの士気や業績への影響

頻繁な離職は、残った従業員の士気に悪影響を及ぼしやすくなります。離職により人員が減少すると、業務の負担が残されたメンバーに偏り、ストレスや疲労が増大します。また、チームの一体感やモチベーションが低下し、業績にも悪影響を与える可能性が高まります。特に、チームリーダーやベテラン従業員の離職は、知識やノウハウの喪失につながるため、企業にとって深刻な課題となります。

離職率を下げるための具体的な施策11選

1.職場環境の改善

職場環境の改善は、従業員の満足度と生産性を向上させ、離職率を低下させる重要な要素です。従業員が快適で安全な環境で働けるようにすることで、仕事に対するモチベーションが高まり、結果的に企業全体のパフォーマンス向上につながります。

2.労働環境の整備(オフィスのレイアウト、福利厚生など)

オフィス内の配置を見直し、コミュニケーションが取れるスペースや休憩エリアを設けることで、従業員のリフレッシュと交流を促進できます。また、育児支援やフレックス制、在宅勤務等の福利厚生を整えることは、満足度と定着率の向上に直結します。

3.コミュニケーションの促進

効果的なコミュニケーションは、チームの結束力を高め、離職を防ぐために不可欠です。オープンで透明なコミュニケーションを促す文化を構築し、意見交換やフィードバックを重視する環境を整えることが求められます。

4.定期的なフィードバックの重要性

定期的なフィードバックは、従業員の成長を支援し、課題の早期発見に役立ちます。上司と部下の間で面談を行い、目標やパフォーマンスへのフィードバックを提供することで、従業員は自分の進捗を把握でき、より高いモチベーションを維持できます。

5.チームビルディング活動の導入

チームビルディング活動は、信頼関係を築き、従業員同士の絆を深める有効な手段です。レクリエーションや共同作業を通じて、チーム内のコミュニケーションが活発になり、協力体制が強化され、職場の雰囲気が改善します。

6.キャリア開発の支援

キャリア開発の支援は、従業員のスキル向上とキャリアパスの明確化を図る施策です。従業員が将来的な目標を描けるようにすることで、モチベーションを高め、長期的な定着を促進します。

7.スキルアップ研修

従業員がスキルを向上させられる環境を整えることは重要です。外部研修サービス(UdemyCourseraなど)を活用したり、社内の専門家を講師とする「社内講師制度」も、従業員のスキル向上に寄与します。

8.キャリアパスの明確化

各職種におけるキャリアパスを提供することで、従業員は自分の目標に向かって努力する意欲を高められます。また、経験豊富な社員が若手社員のメンターとなりアドバイスを提供する「メンター制度」も、キャリア開発を支援する手法の一つです。

9.社内育成プログラム

社内育成プログラムは、リーダーシップやマネジメントスキルなどの人材育成を目的としたトレーニングを提供するものです。具体的には、リーダーシップ研修やマネジメント研修を通じて、将来的なリーダーの育成を目指します。

10.エンゲージメント調査の実施

従業員の意見を把握し、エンゲージメントを向上させるためには、定期的なエンゲージメント調査の実施が必要です。この調査により、従業員の満足度や不満点を可視化し、適切な改善策を講じることが可能になります。

11.モチベーションを高めるためのインセンティブ制度

モチベーションを高めるために、パフォーマンスに応じたインセンティブ制度を導入することが効果的です。目標達成者への報酬や表彰制度を設けることで、従業員の意欲を喚起し、仕事に対する満足度を向上させることができます。

成功事例の紹介

具体的な企業名と施策

1.サイボウズ株式会社

ポイント


100人100通りの働き方を宣言!従業員が主体となった働き方改革。

サイボウズは、かつて28%という高い離職率に直面していましたが、人事制度の改革を通じて劇的な改善を実現しました。成功の鍵は、従業員が主体となって人事制度を設計する“ボトムアップ型”のアプローチです。従業員のニーズに応じた柔軟な制度を導入し、成果を重視する働き方への移行を推進しました。たとえば、在宅勤務制度やフレックスタイム制度の導入により、ワークライフバランスを向上させた結果、離職率を4%にまで引き下げました。

出典:離職率28%、採用難、売上低迷。ボロボロから挑んだサイボウズのハイブリッドワーク10年史

サイボウズ株式会社のHP

サイボウズ株式会社

 

2.株式会社鳥貴族

ポイント


業界の慣習を破る!理念を追求した働き方改革。

鳥貴族では、「無断残業の禁止」「組織の壁をなくす取り組み」など、飲食業界における慣習を見直す施策が功を奏しました。入社後のフォローを人財部が積極的に行うことで、新人社員が感じる不安を早期に解消。さらに、社長室や役員室を設けず、すべての社員が同じオフィスで働く環境を作ることで、フラットな組織風土を実現しました。これにより、従業員のモチベーションを維持し、低い離職率を保っています。

出典:【定着率の裏に理念あり】離職率が業界平均を大きく下回る鳥貴族の秘密

株式会社鳥貴族

具体的な企業の成功事例をもとにした施策の紹介

  • 従業員の参画を促す人事制度の設計
    従業員が自ら人事制度の設計に参加できる仕組みを導入することで、個々のニーズに合わせた柔軟な働き方を実現できます。具体的な施策として、在宅勤務制度やフレックスタイム制度を取り入れることが推奨されます。
  • コミュニケーション文化の醸成
    日常的な対話を重視し、上司と部下の定期的な1対1の面談や、表彰制度の導入などを行うことで、従業員同士の信頼関係を強化します。こうした施策は、社員のモチベーションを高め、離職率の低減に寄与します。
  • 労働環境の整備とフラットな組織体制の導入
    オープンなオフィスレイアウトや、従業員が意見を自由に発信できる場を作ることで、従業員の帰属意識とモチベーションが向上します。特に、若手社員の声を積極的に吸い上げる環境が重要です。

まとめ

離職率を改善するためには、従業員のニーズを踏まえた施策が不可欠です。成功事例に共通するのは、従業員を主体にした制度設計、円滑なコミュニケーション、そして柔軟な労働環境です。これらの施策を実践することで、従業員のエンゲージメントを高め、長期的な人材定着を図ることが可能となります。企業はこれらの成功事例から学び、独自のアプローチを加えて効果的な人材マネジメントを構築することが求められます。

関連:アルバイトの離職率が高い原因は?定着率を改善する方法をご紹介

 

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